引きこもり

引きこもり10年の当事者と家族の思いとは?支援者の悩みも

投稿日:2019-05-19 更新日:

「10年間引きこもっていました。」

10年という長い間、引きこもるという経験は、当事者だけでなく周囲の家族にとって、いったいどのような経験なのでしょうか?

 

そしてそんな長い間引きこもっていた人を支え、社会とのつながりを模索しようとする人々は、どのような思いでいるのでしょうか?

 

この記事では、引きこもり10年の当事者と家族の思いについて事例をいくつかまとめました。

 

さらに、支援機関である「サポステ」の事例をもとに支援者の思いと必要な支援についてまとめました。

 

引きこもり10年の当事者の語り

Aさんのケース

引きこもりになった理由

Aさんはまず自分が引きこもりになった理由について、「ささいな人間関係のトラブルから引きこもりになった」と語っています。

 

引っ込み思案で、根暗な性格で中学・高校と頑張ってきたけれど、高校を卒業するあたりで、一気にやる気がなくなってしまいました。

 

引きこもっていた頃の生活

昼夜逆転の生活だったと言います。

 

ひどいときには19時に起きるという始末。

 

たいして動いてもいないのによく眠り、睡眠時間は12時間というのはしょっちゅうで、これまたひどいときには20時間寝ていた、ということもあったようです。

 

起きているときにしていたことは、テレビやゲーム、そしてインターネットでした。

 

毎日この繰り返しで、「気づいたら10年経っていた」そうです。

 

働こうと思ったきっかけ

10年も引きこもっていたら、もう就職は無理だろうと半ばあきらめていたそうです。

 

しかし、たまたまテレビで引きこもりから脱出した人のインタビューを見て、「自分にもやれそう!」と思って就活を始めました。

 

就活のやり方

Aさんの就活のやり方はとてもシンプルです。

 

求人サイトで、「未経験可」の求人に応募しまくるということでした。

 

コツとしては、履歴の「備考欄」に、

  • 正直に自分が長い間無職であるということ
  • これから頑張る

ということを書いたそうです。

 

履歴書の自己PRや志望動機欄では、「働きたい」という気持ちが伝わるように書いたそうです。

 

すると、企業から面接に呼ばれることもいくつかあり、就職することができました。

 

10年引きこもっていても、十分チャンスがあることがわかりますね。

Bさんのケース

Bさんは30歳から10年引きこもっていました。

引きこもりになった理由

高校卒業後、専門学校へ行くもクラスメイトとの人間関係がうまくいかず、また車で交通事故を起こしてしまって気持ちが落ち込んだのがきっかけで、専門学校は中退。

 

アルバイトを転々としながら生活を送っていました。

 

友人もいたが、次第に会話の内容が、仕事・結婚・家庭の話題ばかりになって、噛み合わなくなってしまいました。

 

友達の中でも浮いた存在となり、アルバイトでもパワハラにあってしまったために、居場所のなさを強く感じました。

 

完全に気持ちが萎え、アルバイトは辞め、友達との付き合いもなくなり、話すのは家族だけになってしまいました。

引きこもっていた頃の生活

眠くなるまで起き、目が覚めるまで眠る、の繰り返しでした。

 

そんな毎日を5年も過ごすと、焦りなどもなくなり、引きこもっていること事態が楽しくなったりもしました。

 

それでもBさんは1日1時間は外出するようには努めていたそうです。

 

外出しても特に何をするわけでもないのですが、昼間一日中家にいることには、それなりに罪悪感を感じていたからだそうです。

 

働こうと思ったきっかけ

引きこもっていることについて、それまで何も言ってこなかった母親が、生活費が足りないという相談をしてきました。

 

すでに両親とも高齢になっていたので、収入はわずかでした。

 

そのため大人3人分の生活費を賄うのが難しいとのことでした。

 

Bさんはそれを聞いてすぐにハローワークへ行くことを思い立ったそうです。

 

就活のやり方

ハローワークに相談に行ったら、引きこもり期間が長いことからいきなり働き出すより少しずつ生活リズムを整えるよう勧められ、サポステを紹介されました。

 

サポステでジョブトレーニングとして、チラシの仕分け作業や清掃体験、農業体験をして社会との関わりを深めていきました。

 

履歴書の書き方などは何度も見直してもらったそうです。

 

その後、介護の資格の勉強をして取得し、今では清掃のアルバイトをしながら介護施設でも週に数日ずつ介護職員として働いています。

 

普段何も言わなかった母親が生活費の相談してきたのは、Bさんにとってとてもショックだったんだと思います。

 

それがきっかけで、徐々につながりを広げていく様子が語られました。

 

また40歳近くでも受け入れてくれる職場はあることがわかります。

引きこもり10年の家族の語り

10年引きこもって30歳になる息子さんがいるという父親Cさんのケースを紹介します。

 

息子さんは夜中コンビニに食べ物を買いに行く以外、ほとんど外出しないそうです。

 

両親は共働きで、日中息子が何をしているのかはよくわかりません。

 

息子との関係で、あるとき事件がありました。

 

引きこもり始めて1、2年した頃、Cさんは「お前は何しているんだ!」と怒鳴ってしまったそうです。

 

それに対して、息子さんは叫び声をあげ、恐ろしい目つきで壁をたたき、穴を開けてしまったという事件がありました。

 

その様子があまりにも恐ろしく、Cさんはそれ以来、息子さんとはほとんど関わらないようになりました。

 

母親はいくつかの相談機関を訪れたのですが、どこからもあまりきちんとした対応はしてもらえませんでした。

 

Cさんは、「自分たちが死んだあと息子は一体どうなるのか」、と不安で愕然となり、今回初めて相談機関を訪れました。

 

「いつかそのうちなんとかなるだろうと思っていたが、気づけば10年も時間がたっていました。そのうち、そのうち、と考えることで、息子から逃げていた。」と苦しそうに語りました。

 

Cさんは、良く言えば、息子さんをそっとして見守っていたわけですが、それが10年という歳月引きこもることにつながってしまったわけです。

 

そのことで自らを責め、後悔し、苦しんでいる様子がひしひしと伝わってきます。

 

では引きこもり当事者や家族にはどのような支援があればよいのでしょうか。

 

引きこもり10年の支援者の語り

上でBさんのケースで少し触れましたが、長期にわたって引きこもっていた場合、すぐに就職するよりも少しずつ社会生活に慣らしていったほうが、本人にとって良い場合があります。

 

そんなときに注目されるのが、「地域若者サポートステーション(サポステ)」の活動です。

 

サポステは、悩みを抱えた若者に寄り添い、働くための後押しをするのが役割です。

 

厚生労働省の支援事業として2006年に始まり、年々規模は拡大しています。

 

2006年度に25カ所でスタートし、2018年度には175カ所まで増加。

 

これまで延べ450万件以上の人が利用し、2017年度の総利用件数は47万件以上となっています。

 

数あるサポステのなかの一つで、心理カウンセラーとして働く支援者のDさんによると、サポステを訪れる若者の多くは人間関係を構築するのが苦手で、自信がない傾向にありますが、なにかきっかけがあるだけで変わることができると言います。

 

相談に来る若者も一様ではなく、さまざまな経緯で支援を受けにきます。

 

10年近く引きこもっていた男性は、親が高齢になっていたこともあり就職を強く希望していたこともあり、「何がしたいか」よりも「何がしたくないか」を考えてもらって就労の道へとつなぐことができました。

 

どんな人も意外に簡単なことで道が開けることもあり、例えば言葉遣い一つでも変わると改善することがあるそうです。

 

そんなサポステですが、深刻なのが運営していくための費用です。

 

厚労省からの委託金で経営をしていますが、人件費や施設維持費ですぐになくなってしまいます。

 

就労実績に応じて委託金の額が上がるのですが、若者本人のためを思えばただ就労させればいいというわけではないので、支援スタッフとしてはそこが悩みどころです。

 

いずれにせよ、一人で悩んでいるよりも、相談すれば話を真剣に聞いて支えてあげられるので、気軽に相談に来てくれるといいとDさんは語っています。

 

ちなみに私がどのように引きこもりから抜け出したのかという方法については、「30代・無職・正社員経験無し。もう就職はあきらめたほうがいい?」で解説しましたので、こちらも合わせてご覧ください。

 

まとめ

ここまで、引きこもり10年の当事者、家族、支援者の事例をそれぞれまとめました。

 

ここに挙げたのはあくまでも事例の一つに過ぎません。

 

とくに当事者の物語は、どれも就職という結末になりましたが、ほかに在宅ワークという働き方などもあるでしょう。

 

いろんな人生のストーリーに目を向けて多様な価値観を知ると、少し生きるのが楽になれるかもしれません。

 

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